日本のように四季が豊かな国では、その四季の過ごし方によって、身体もそうですが、肌にも差が出ます。
四季の変化についていける肌と、ついていけない肌では、季節を経るごとに、その健やかさと美しさの差が開いていく… つまり、日本はただ暮らしているだけで、肌に違いが出てしまいやすい、ということ。そこが、一年中 似た気候が続く国々とは異なるところです。
でもそれは、季節の特性を理解すれば、自然の摂理を肌の味方にできるということ…。それが本当なら、こんな心強いことはありませんよね。是非季節と肌の関係を知って お肌の養生に活かして、軽やかに四季を駆けぬけ、健やかな肌、そして美しい肌を育ててください。
今回は、『春の肌』編です。

昨今では、二極化が進み、すっかり春や秋が短くなったと言われますが、実は肌が大きく変わるのが、その春と秋。肌は、より短期間で、大きな変化を迫られるようになりました… 肌にとっては過酷なことです。だからこそ、これまで以上に、人が肌をじょうずにアシストしてあげてほしいのです。
春には3つのポイントがあります。
まず、身体が持つ春の働き。春は、日本人の身体が「冬の身体」から目覚めて「春、ひいては夏への身体」へと切り替わるシーズン。昔からよく「春の皿には苦味を盛れ」と言われますが、ふきのとう、たらの芽、ニラ、セロリ、たけのこ、新玉ねぎ…、春が旬の野菜には、苦味や独特の香りを持つものが多くあります。新陳代謝を活発にして、冬の間に溜め込んだ脂肪や毒素などの老廃物を手放すために、こうした山菜や野菜をとって、身体の排泄の手助けをすると良い、という昔の人の知恵ですね。
身体の一部である肌も、この影響を強く受けます。
肌は身体の排泄器官ですから、季節の摂理の強力なバックアップを受けて、いつも以上に活発に、要らぬものを排泄しようと動いてくれるのですね。ありがたいことです。
施術にいらっしゃる皆さんのお肌をほぐしていても、もう春は吐き出しの勢いが違います。
そして、春は、身体の衣替えの季節でもあります。
動物は季節により夏毛・冬毛が生え変わり、暑さ寒さに対応しますが、毛に覆われていない人間は、毛のかわりに、外気に直接触れている「肌」が生まれ替わるのです。
冬は、寒さから身を守るため、熱を逃がさないよう、少しでも保温性のある肌が必要です。締まっている、気密性の高い肌をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
ここから、春は、夏の暑さに対応できるよう、衣替えを進めていきます。
夏には、暑さから身を守るために、放熱しやすい肌が必要となってきます。抜けの良い、気密性の低い肌をイメージしていただくとよいと思います。
春になると、肌表面付近では まだ冬向けの肌ががんばっていますが、肌奥からは、この暑さに備えた夏向けの肌が生み出され始めていくのです。こうして春は、肌は衣替えに邁進する季節となります。
こうした肌の生まれ変わりを健顔で手助けすることにより、滞ったり詰まったりすることなく、夏に向けての肌準備を進めることができます。
そんな、とんとん拍子で肌が進みそうな春ですが、留意すべき点もあります。
なんといっても、春は三寒四温。私たち人間も毎日着るものに迷い、時には服のチョイスを失敗して、今日は暑かった、寒かったと騒ぐ位ですから、むきだしで外気にさらされ続けているお顔の肌は、もっと大変…。
お肌的にも、今日はこのままでは心許ない、外気の変化についていけない、ちょっと一枚羽織ものがほしい、という時があるのです。そんな時、お財布を持って買い物に走れない肌は、『膜』というものを張って、守りに入ります。
寒さが連続して続く冬よりも、外気がめまぐるしく変わる春の方が、肌にとっても対応が難しいのです。
そんな訳で、「排泄」と「衣替え」にいそしむ、活発に動く季節でありながら、ちょっと守りにも入りやすい季節でもあるので、細やかに面倒をみてあげてください。
暖かい日も増えて来たから、乳液は要らないわと決めつけず、外出する時は、お肌の保護のために、適宜 乳液は使ってあげてください。そうすることで、夜、ほぐしやすい状態で健顔のお手入れを始めることができますよ。
役割を終えた『膜』は、おうちに帰ったあと丁寧に健顔して、その日のうちにリセットしてあげましょう。
膜は悪いものではありません。あなたの肌と身体を守るための、大事な防御反応ですが、役目を果たした後の膜の残骸が積もり続けると、詰まりの原因となりえます。
数日程度でしたら大丈夫ですが、数週間以上、ずっとサーフェス・クレンジング・クリームが肌になじまず、真っ白な状態が最初からクレンジング終了時まで毎日連続で続く場合は、膜がリセットしきれていない可能性があります。その時は健顔研究所まで、ご相談くださいね。
肌の育つ過程で、一時期 守りに入りやすい、膜が張りやすい時期に入ることもありますが、過程のひとつですので、肌がもう自分にはそんなに防御は必要ないと思える時が来れば、あまり張らなくなっていきます。
健顔を続けて肌の健やかさが増していくと、肌は、最終的には、外気の影響をダイレクトに受けにくくなり、多少のことでは揺らがないように丈夫になっていきます。守る必要性も減っていきますので、徐々に膜が張る機会も減っていくのです。
以上、春のポイントをお伝えしてきました。
「春は肌荒れしやすい」と言われることが多いのも、ただ「花粉のせい」とか「季節の変わり目だから」というだけでなく、実は春のこうした特性による部分も大きいのです。
排泄の機運が高まり、奥から活発に排泄しようとするけど、表面には冬向けの締まった肌がいますから、そこでつっかかってしまいやすい。その上、三寒四温の外気に対応するため、肌は本能的に防御に走りやすい。その結果、ブツブツや詰まり、赤みや痒みが出やすくなる…という訳なのです。
春は、生活環境が変わったり、年度末だったり…何かと皆さん慌ただしい時期ではありますが、お肌にとっても、大事な変革期。是非、お肌に寄り添い、防御を解きほぐし、ゆったりと吐き出しのお手伝いをするひとときを、とっていただけたらと願っています。それが、この後に続く夏の吐き出しの勢いにも繋がっていきます。
